プールの水は見た目のきれいさだけでなく、肌や目にやさしく、消毒がしっかり効いていることが大切です。
基本となるのがpHの管理で、学校環境衛生基準では5.8〜8.6に保つことが求められます。
あわせて残留塩素は一般プールで0.4〜1.0mg/L、幼児用で0.4〜0.7mg/Lが目安です。
これらの基準を守ることで、細菌の繁殖を防ぎ、においやにごり、刺激などのトラブルを減らせます。
日々の検査と記録、異常時の素早い調整が安全な運営のカギです。
プールの水質検査のやり方
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プールの水は、たくさんの人が使うため、常に清潔で安全な状態を保つことがとても大切です。
そのために行うのが「水質検査」です。水質検査をすることで、水の中に汚れや細菌が増えていないか、塩素の量が適切かをチェックします。
定期検査の目的と頻度
水質検査は、衛生基準を守るために欠かせない作業です。
特に学校や公共プールでは、毎日チェックするのが理想的です。
最低でも1日2回、午前と午後に行うことで、水の状態を常に安全に保つことができます。
水質検査の項目
検査では主に「pH」「残留塩素」「濁度(にごり)」「温度」の4つを測定します。
この中でも、pH値と残留塩素のバランスは特に重要です。pHが高すぎたり低すぎたりすると、塩素の効果が弱くなったり、肌に刺激を与えたりすることがあります。
検査の具体的な手順
まず、専用の検査キットや測定器を使ってプールの水をサンプルとして取ります。
サンプルはプールの中央付近や水面下30cmほどの場所から採取します。
次に、測定結果を記録表に正確に書き込みます。
もし基準値を外れていた場合は、塩素の量を調整したり、水を入れ替えたりして対処します。
こうした検査を続けることで、誰もが安心して泳げる環境を守ることができます。
プールのpH基準
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プールの水は、ただきれいに見えるだけではなく、肌や目にやさしく、消毒効果がしっかり保たれていることが大切です。
そのために重要なのが「pH(ピーエイチ)」の管理です。
pHとは水の酸性・アルカリ性の度合いを示す数値で、水の性質を知るための基本的な指標です。
pHの基準値
文部科学省が定める「学校環境衛生基準」では、プールのpHは5.8〜8.6の範囲に保つことが求められています。
この範囲を外れると、水のバランスが崩れてしまいます。
たとえば、pHが高すぎると塩素の消毒効果が弱くなり、細菌が残る危険があります。
逆にpHが低すぎると、水が酸性に傾いてしまい、肌や目への刺激が強くなります。
参考:https://www.mext.go.jp/content/20201222-mxt_kenshoku-100000613_05.pdf
pHが高い・低いとどうなる?
pHが高い状態では、水の中にある塩素の働きが弱まり、細菌やカビなどが繁殖しやすくなります。
その結果、水がにごったり、においが発生したりすることがあります。
一方、pHが低いと、水が強い酸性となり、目がしみたり肌がかゆくなったりすることがあります。
適切なpHを保つことは、泳ぐ方の安全と快適さを守るために欠かせないポイントです。
残留塩素の基準と塩素管理のコツ
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プールの水を清潔に保つために欠かせないのが「残留塩素(ざんりゅうえんそ)」の管理です。
塩素は、水の中の細菌やウイルスを消毒する働きを持っています。
しかし、量が多すぎても少なすぎても問題が起きるため、適切な濃度を保つことがとても大切です。
残留塩素の基準値
文部科学省の基準によると、一般的なプールでは0.4〜1.0mg/L、幼児用プールでは0.4〜0.7mg/Lの範囲が望ましいとされています。
この数値より高すぎると体への刺激が強くなり、低すぎると消毒効果が弱まります。
つまり、ちょうど良い濃度を保つことが、安全で快適に泳ぐためのポイントです。
塩素濃度が高いとどうなる?
塩素が多すぎると、目や肌への刺激が強くなり、赤みやかゆみを感じる方が出ることがあります。
また、金属製のはしごや排水口などがサビやすくなることもあります。
強い塩素のにおいがする場合は、濃度が高すぎるサインかもしれません。
塩素濃度が低いとどうなる?
一方で、塩素の量が少なすぎると、細菌やウイルスが繁殖しやすくなり、感染症の原因になることもあります。
見た目がきれいでも安全とは限らないのです。
定期的に検査を行い、残留塩素を適正値に保つことで、安心して利用できるプール環境を維持できます。
プール衛生管理者の役割と衛生基準
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プールの水は、見た目がきれいでも、実は多くの人が利用することで汚れや雑菌が少しずつたまっていきます。
そのため、常に安全で清潔な状態を保つためには、専門的な知識と管理が必要です。
ここで重要な役割を果たすのが「プール衛生管理者」です。
プール衛生管理者は、水質や衛生状態を監督する責任者であり、利用者の安全を守る中心的な存在です。
プール衛生管理者の主な仕事は、水の状態を定期的に検査し、衛生基準を満たしているかを確認することです。
文部科学省や厚生労働省が定める「学校環境衛生基準」や「公衆浴場法」などの基準に基づき、残留塩素の濃度やpH値、濁度、温度などを日々チェックします。
これらの数値は、プール水の安全性に直結する重要な指標です。
たとえば、塩素濃度が低いと細菌が繁殖しやすくなり、感染症が広がるおそれがあります。
一方で塩素濃度が高すぎると、肌や目への刺激が強くなり、利用者の快適さを損ないます。
pHについても、基準の範囲を超えると塩素の効果が弱くなったり、金属部分が腐食したりすることがあります。
こうした数値を常に一定に保つために、プール衛生管理者は水質を監視し、必要に応じて塩素剤を追加したり、水を入れ替えたりして調整を行います。
特に夏場のように多くの人が利用する時期には、短時間で水質が変化することもあるため、こまめな測定が欠かせません。
一般的には1日2回以上、朝と午後に検査を行うことが推奨されています。
水質トラブル時の対処法
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どれだけ注意していても、プールの水質が急に変化することがあります。
たとえば、大雨のあとや利用者が一気に増えた日には、pHや塩素濃度が大きく変わることがあります。
そんなとき、すぐに適切な対応を取ることが求められます。
まず大切なのは、「異変に気づいたら即行動すること」です。
定期検査の結果や臭い、濁りなどに異常が見られた場合、まずは再検査を行い、数値の誤りがないかを確認します。
もし再検査でも基準を外れていることが分かった場合は、速やかに応急措置を行います。
たとえば、塩素濃度が高すぎる場合は、新しい水を一部入れ替えて濃度を下げます。
逆に、塩素濃度が低いときは、塩素剤を追加して適正値まで上げます。
pHが基準範囲(5.8〜8.6)を超えている場合には、専用の薬剤を使ってバランスを調整します。
このとき、薬剤を一気に入れず、少しずつ混ぜて変化の様子を確認することがポイントです。
また、応急措置だけで終わらせず、「なぜ数値が変わったのか」をきちんと調べることも大切です。
たとえば、塩素注入装置の不具合、水循環ポンプの停止、利用者数の急増、雨水やごみの混入など、原因はさまざまです。
原因を特定したうえで、今後同じトラブルを防ぐための対策を立てましょう。
まとめ
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pHと残留塩素はプール衛生の要で、どちらかが外れると消毒効果の低下や肌への刺激、設備の腐食、感染症リスクの上昇につながります。
基準範囲を毎日確認し、数値がずれたら原因を確かめつつ段階的に調整しましょう。
水の入れ替えや薬剤の追加は少量ずつ行い、変化を記録することが再発防止に役立ちます。
衛生管理者が中心となって検査、記録、報告、衛生教育を続けることで、だれもが安心して利用できるプール環境が保てます。













